入試世界史研究会

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今年注目! 世界史トピック5選【2022年度最新版】

 明けましておめでとうございます。今この記事を読んでくださっている方の中には、大学受験を間近に控えた高3生や浪人生がいらっしゃるかもしれません。今日はそんなみなさんに、今年の入試で問われそうな世界史のトピックを時事問題から5つご紹介します。

 

 

時事問題を勉強することの意味

 時事問題について取り扱う前に、世界史の入試対策において時事問題を勉強することの意味を確認しておきます。大学の教授は、学生たちに対して、いわゆる「社会」科の科目を暗記科目として捉えるだけではなく、現代の諸問題に通ずる問題として学習する姿勢を求めています。そして常に時事問題にアンテナを張り、日ごろの学習と結びつけることができているかどうかを、入試問題を通じて問うてみようとするのです。

 以上のような問題意識を大学教授たちが本当に持っているかは、近年の過去問からだけでもよくわかります。

2016年の例

・主な出来事:トランプ米大統領当選と世界の保守化(世界史上の「帝国」に通ずる動き)、リオデジャネイロ五輪

・翌2017年の出題:

【東大】第1問「古代帝国の成立」、第2問「少数者」(トランプ氏は少数者への差別的発言を繰り返していた)

【一橋】第2問「ブラジルの独立」

 

2017-8年の例

主な出来事:イギリスのEU離脱の動き

出題:

慶應(法)】2018「イギリスとヨーロッパ大陸諸国の関連史

 

2020-1年の例

出来事:コロナ流行、北京五輪開催において新疆ウイグル自治区の人権問題が取り沙汰、ミャンマーアフガニスタンにおける民主主義の危機

出題:

【東大】2021第3問ペストに関する出題、2022第1問「トルキスタン新疆ウイグル自治区の歴史に深く関係している)」

【一橋】2022第2問コロナ不況からイメージされるニューディール政策

【京大】2022第3問古代アテネ・ローマの「民主政」

【名古屋大】2022第3問「ドレフュス事件(コロナ禍で欧州の一部で反ユダヤ主義が復活)」

 

 他にも、挙げようと思えばキリがありません。超難関大学では、時事問題から安易に想像される問題を問うことはありませんが、中堅以下の大学ではほとんどそのまま問われる可能性もあるでしょう。いずれにせよ、時事問題の構造的背景にある歴史をしっかりと学んでおけば、得点を伸ばしやすいと言えます。もちろん今これを読んでいるあなたが受けるところで100%、時事問題に関する出題があるという保証はありませんが、重点的にケアしておくには値すると言えるのではないでしょうか。

 

今年注目のトピック5選

 それでは、さっそく時事問題に関するトピックを整理していきます。

1、ウクライナ戦争に関するトピック

 まずは昨年2月ロシアがウクライナに侵攻することで始まったウクライナ戦争に関する問題です。直接ウクライナ戦争の歴史を問うてくる可能性は高くないと思われますが、近代ロシアの南下政策(特にクリミア戦争)、東ヨーロッパ史ポーランド史、農奴制と西洋への小麦出荷など)などは警戒が必要です。

 かつてロシアがクリミア戦争で口実にした「オスマン帝国内に住むギリシア正教徒の保護」は、現在のウクライナ侵攻に通ずる側面があります。ギリシア正教会に絡めて、中世以前のキリスト教の東西の対立も出題される可能性があります。

 NATO軍や国連軍がウクライナを軍事支援しないことも、一部からは批判されています。これに関連して、2度の”国連”の違いや限界、NATOに関連してヨーロッパの冷戦史も十分に警戒が必要です。

 

2、コロナに関するトピック

 徐々に経済活動も復活してきたとはいえ、まだまだコロナの影響はぬぐい切れない現実があります。感染症については、中世ヨーロッパのペスト流行がやはり一大テーマでしょう。感染症をヨーロッパと新大陸が相互に持ち込みあったという観点から大航海時代についての出題もあるかもしれません(実は今年の日本では大航海時代に南米からヨーロッパに持ち込まれた感染症が流行していました)。

 経済の停滞・不況については、世界恐慌に関する問題は出題される可能性があります。実際に昨年の一橋は出題しました。有名大学同士は、翌年に問題を真似しあうという現象が極めて頻繁に見られるので、東大・京大・東京外大・阪大・名大・九大などを志望している人は、世界恐慌ニューディール政策に警戒が必要です。「ニューディール政策の輸出」に絡めて、戦後のアメリカ外交も勉強しておきましょう。

 

3、カタールW杯に関するトピック

 W杯やオリンピックのようなスポーツ大会に関係のある、あるいはそれに際して話題になったテーマは問題の材料になりがちです。これは意外と入試世界史の業界でも盲点なんです。2022年の東大の第1問もトルキスタンの問題で、新疆ウイグル自治区の近辺が舞台になっていましたが、これは北京・冬季五輪の開催に関係して問題になった地域です。それに関して言えば、昨年のW杯ではイスラーム世界の女性の地位や、移民労働問題が話題になりました。その関連で、イスラームの女性史や世界の女性史、アジアの移民(華僑や印僑)が出題される可能性は多いにあると思ってください。

 とにもかくにも、今年はイスラーム関連のテーマが多く出題される可能性があるのです。湾岸戦争からも30年以上たちました。世界史では30年経った出来事は出題の可能性が高くなると考えてよいので、戦後の中東問題もしっかり勉強してください。イラン革命について説明できるようになりましたか?そういうピンポイントのテーマに答えられるようになりましょう。

 

4、国家元首に関するトピック

 昨年は著名な(元)国家元首が亡くなりました。世界史ではエリザベス女王が亡くなったので、イギリス史の出題の可能性は高いでしょう。特にイギリスの国王と議会の関係は中世からのテーマです。中世以来のイギリスの政治体制の変遷について、史料集などで追っかけてみてください。そのまま出題される部分があるかもしれません。

 いわゆる○○帝国の皇帝についても有名な人物の勉強はしておくとよいです。ロシア帝国などはウクライナ戦争とあいまってさらに出題される可能性が高いです。エカチェリーナ2世は女性の国家元首としてエリザベス女王との共通点がありますので、エカチェリーナは特に警戒です。

 

5、歴史総合に関するトピック

 世界史がマクロの勉強であるとしたら、日本はミクロ世界史の一つでもあります。日本が他国との間にどのような歴史的関係を築いてきたのかをもっとちゃんと勉強する必要があるのではないかという風潮が強まっています。その中で歴史総合という科目を作り、日本史と世界史を同時に教えようという試みが始まったのです。その影響か日本と東アジア諸国を絡めての出題が以前より増えているように思われます。

 中華思想がアジアの諸国に広がっていき、それに基づく政治が行われたことは知っているでしょう。朝鮮の小中華思想も、江戸幕府の政治や外交も中華思想のミニバージョンと表現されます。「変容する近代東アジアの国際秩序」(山川出版社)という本がこの分野で得点を伸ばすのに向いた本となっています。購入して直前期の勉強のスキマ時間に読んでみるのはいかかでしょうか。

 

最後に

 世界史が得意でさらに得点を伸ばしたい方はトピックをどんどん勉強してください。逆に世界史が苦手で勉強するポイントを抑えておきたい人もトピックをベースに勉強していくと良いでしょう。

 難関国公立を受験する方は、特に論述のテーマとしてトピックからの出題が増えます。論述演習テキストや予想問題を解いてみてください。添削サービスも提供していますので合わせてご利用ください。世界史を一気に合格点に持っていきましょう。

 

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