入試世界史研究会

世界史を得点源にしましょう!!

パッと簡潔にoverview!【名大世界史 2024】

皆さん、こんにちは!

 

今回は2024年の名古屋大学の世界史の講評をやっていきましょう。著作権の関係から問題文全体の掲載はやめておきます。

 

<目次>

 

第1問

中央アジアを中心に、アジア全体からインド方面に目を向けた名大らしい出題でした。基本的に、第4問以外の論述には字数指定をしないことが多かった名大ですが、今回は字数を指定する出題も見られました。昨年と同様に、最後の問題では「(自分なりの)考え」を書くことが要求されました。

 

以下は、この問題と深く関連している本会のオリジナル問題です。興味のある人は、ぜひ解いてみてください。

 インドという土地は古代インダス文明にはじまり、様々な民族が王朝を建設し歴史を形成してきた。しかし、その多様性ゆえに支配する側には常に困難が付きまとってきた。


 歴代のインドの支配者はそうした困難に対処してきたが、とりわけ 16 世紀から 20 世紀前半にかけては帝国による支配の中で諸問題が発生していた。その諸問題と解決策について 400 字以内で説明しなさい。

 

出典:「分かる!できる!世界史の論述が書けるようになる本」

第2問

ハプスブルク家に焦点を当てた問題でした。少し答えにくい問題や、正解を1つに定めにくい問題などが見られたので、受験生は苦戦したかもしません。

あまりコメントすることがないので、再び関連するオリジナル問題をお見せします。

 

 

出典:「分かる!できる!世界史の論述が書けるようになる本」

 

第3問

すっかり定番化した5つの史料を元に問うてくるスタイル。昨年は第2問へと引っ越しましたが、すぐに個の第3問に戻りましたね。テーマは「アメリカの歴史」。2008年にも名大は5つの史料問題でアメリカをテーマとして出題しましたが、その時は19世紀に限定されていました。今回はアメリカについて幅広く問うてくる問題となりました。

本会では、アメリカ史を学習する際に必ずおすすめしている本があります。別に本会の関係者が執筆した本ではないのですが、アメリカ史の概要と基本的な理念をコンパクトにまとめた良書なので、ぜひ読んでみてください。

 

nyushisekaishi.hatenablog.com

 

第4問

昨年のヴェルサイユ体制とは打って変わって、前近代の中国の官僚制と文化史の関連を問うてきました。文化史を軽率に学びがちな受験生への警告として受け取ることもできるでしょう。

文化史は、文化史だけで学ぶべきではありません。文化は政治や社会の影響を強く受けるのです。今年の九州大学が好例です。以下のような問題文でした。

ヨーロッパにおける絵画は,15世紀から20世紀にかけて,どのように展開したのか。各時期について,代表的な様式とその特徴,代表的な画家,政治もしくは社会的背景に言及しつつ,550字以内で説明しなさい。

今年、名大と九大が出した警告を真摯に受け止め、受験生は政治や社会と絡めて文化史を学ぶという営みを怠らないようにしてください。

 

参考書と講座のご紹介

この解説の中でも時折説明したように、論述を書き上げるには知識だけでなく、技術や経験が必要となります。それを身に付けられる参考書や講座は、世の中にそれほど多くありません。

本会は、特に地方に住んでいて、大手予備校の授業を受けることのできない受験生をサポートしたいと考えて、書籍やオンライン講座を用意しています。もちろん都会の受験生も、本会のサービスを活用したい方は大歓迎です。1人1人に向き合って丁寧にサポートします。その分受け入れ人数はかなり限られているので、ご希望の方はお早めに!

 

書籍

講座を受けるほどではないけれど、本会の論述ノウハウや、効率的な勉強法を知りたいという方には、参考書のご利用をおすすめします。こちらから各書籍の詳細をご覧ください。 

 

 

通期講座(詳細はリンクから別ページでご覧ください!)

1「個人特訓」

 

2「入試世界史演説ゼミナール」

パッと簡潔にoverview!【京大世界史 2024】

皆さん、こんにちは!

 

今回は2024年の京大世界史の講評をやっていきましょう。著作権の関係から問題文全体の掲載はやめておきます。

 

<目次>

 

第1問

問題で指定された時代、テーマ設定などから一橋大学の2020年の問題との共通性を感じることができました。部分的ではありますが、「世界史の中の日本史」として秀吉の朝鮮出兵を取り上げている問題であり、近年の入試世界史の風潮に影響されていると言えます。

また、今年の一橋大学の第3問でもフォーカスされたように、近年の東アジア史研究においては中国そのものよりも、朝鮮や日本などの近隣国の存在が注目されています。この問題もそのような学問的な影響を受けているようにも見えた問題でした。

 

nyushisekaishi.hatenablog.com

 

今回の京大の問題では、「小中華思想」という言葉が絶対に使いたいキーワードになります。もしこの言葉についてよく知らないという受験生がいたら、東大・京大・一橋でここ5年のうちに出されているテーマなので、しっかりと調べておいてください。

 

第2問

A

がっつり中国史を出してきました。近年の傾向から、東南アジアの出題をケアしていた受験生もいたかもしませんが、やはり京大世界史に挑むうえでは中国史は絶対にできないといけません。また、昨年は現代のニュースで取り扱うような用語や、地理で出題されそうな用語も出題されました。しかし今年は、古代や中世からの出題が多く見られました。来年以降、再び現代史が頻出になる可能性も考えられます。現代史になればなるほど、世界史としての出題から一般教養的な出題に変わります。受験生もニュースなどに多少の興味を持つようにしてください。

 

B

イスラーム世界について出題されました。小論述が一切出題されず、短答問題ばかり出題されたので、絶対的な知識量が試されたかと思います。京大は論述問題も含めて、ややマニアックな知識を問うてくることが多いので、細かい部分まで勉強しておくことが求められます。

 

第3問

「京大の第3問の質が低下している。」そう思ったのは本会だけでしょうか。今年は一橋の頻出分野から、高校の定期試験の方がまだ良い問題を出す先生がいそうな問題を出してきました。誤解のないように言っておきますが、決して高校の世界史教師を卑下したいのではなく、京大の教授陣が高校の教師の作る問題と同等あるいはそれ以下の問題を作ったことを批判しています。

 

難関大学が飾り気のないシンプルな問題文で出題するときは、そのシンプルさ故に考えることが多くて、また知識もある程度は難しくて、良い解答をつくるのはかなり難しいという問題を出すことがあります。しかし今回の問題文はそういうわけでもなく、点差が出にくいような問題でした。京大の受験生レベルであれば、よほど世界史を捨てている人以外はそれなりに良い解答をつくってきそうな易問です。

 

京大の教授には、もちろん普段の業務に加えて入試問題を作成して採点することが大変であることは理解しますが、もう少し受験生に向き合って良問を作ってほしいと思います。

 

第4問

A

東ヨーロッパの歴史について、ざっくりと問うてきました。教科書レベルの問題が多く、ミスをして差をつけられないことが大事になりそうなセットでした。

 

B

西ヨーロッパをメインとして、これも教科書レベルの出題が続きました。(18)のような出題の仕方が増えると、本会としても分析のやりがいがありますね。

(14)にして、ようやく今回はじめての小論述が出てきました。今回は小論述がまったくないのかと思って解き進めてきた受験生もいたかもしませんが、この1問だけを出すことに京大にはどのようなこだわりがあったのでしょうか。昨年の小論述の出来がよほどひどかったのか、短答問題で単なる知識量を問うてきた京大に聞いてみたいことは色々あります。

 

参考書と講座のご紹介

この解説の中でも時折説明したように、論述を書き上げるには知識だけでなく、技術や経験が必要となります。それを身に付けられる参考書や講座は、世の中にそれほど多くありません。

本会は、特に地方に住んでいて、大手予備校の授業を受けることのできない受験生をサポートしたいと考えて、書籍やオンライン講座を用意しています。もちろん都会の受験生も、本会のサービスを活用したい方は大歓迎です。1人1人に向き合って丁寧にサポートします。その分受け入れ人数はかなり限られているので、ご希望の方はお早めに!

 

書籍

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通期講座(詳細はリンクから別ページでご覧ください!)

1「個人特訓」

 

2「入試世界史演説ゼミナール」

パッと簡潔にoverview!【一橋世界史 2024】

皆さん、こんにちは!

 

今回は2024年の一橋世界史の講評をやっていきましょう。著作権の関係から問題文全体の掲載はやめておきます。

 

<目次>

 

第1問

中世ヨーロッパを出題する一橋世界史の伝統に則っていました。史料も複数出てきて、ビュッヒャーという知らない人物が出てきて、普通の受験生なら焦るかもしませんが、一橋志望者はこれくらいのことで動じてはいけません。こういう時こそ、いつも通りの主題と副題の分析から始めていきましょう。

 

また今回は一橋大学のレジェンド教授であり、第5代一橋大学学長でもある増田四郎の文章が題材となっていました。これも一橋のよくやる手法ですね。

 

それではパッと簡潔に分析しておきましょう。

<主題>

文章中の下線部について、アルプス以北の地域において中世都市が果たした社会経済史的意義を考察しなさい。

<副題>

・ビュッヒァーの見解の批判的検証を通じて都市経済の「封鎖的な面」と「開放的な面」を明らかにする

・12〜14世紀の神聖ローマ帝国領域内の複数の都市の事例を挙げる

 

かなり要求が入り組んでいて、史料の読み込みと知識を結びつける一橋世界史らしい出題だったと言えるでしょう。出題分野も中世ヨーロッパの都市であり、最近だと2008年や2016年の問題を解いていれば、ある程度は既視感を持って解答できたのではないかと思います。

 

まずは増田四郎の資料を分かりやすくまとめてみましょう。

中世北欧の都市は、独特の経済構造を持っていました。それは、都市が一種の大きな家計単位として認識され、市民の生活全体が統一された形で捉えられていたことに起因します。この特徴は、市民の経済生活が職業分化され、家族の自給自足の理念や地域の伝統的な制約から解放され、封建的な支配からも解放された結果です。

 

都市の中心には、市場が設けられており、これが市民全体の経済活動の中心でした。市場の繁栄は、市民全体の福祉に直接影響し、市民は文字通り一つの経済的な共同体である「Stadtvolk」として捉えられました。このような経済的な基盤がある都市では、経済を規制する意欲が生まれます。これにより、都市や市民が新しい経済政策の担い手となり、封建的な支配とは異なる高次の政策意欲が生まれることになります。

 

ビュッヒァーの経済発展段階説によれば、都市の経済政策は封鎖的な側面と開放的な側面を持つとされます。これは、中世都市が経済的役割の重要性を認識しながらも、市民の経済心理や地域の伝統的な制約を考慮する必要があるからです。結局のところ、都市経済は封鎖的な側面と開放的な側面を統合した複雑な構造を持っていました。

 

ビュッヒャーの文章も問題文に添えてあります。増田の文章と合わせると以下のように整理できるでしょう。

 

このような状況から、中世都市の経済政策は封鎖的な側面を持っていました。

封鎖的な側面:
1. 地域内での経済活動が独立的に行われていたため、外部からの競争が制限されていました。
2. 各都市は独自の経済単位を形成し、外部との経済的つながりを制御していました。
3. 地域内での貿易や商業活動は、市民組合や地域の規範によって制約され、外部からの影響を受けにくい状況でした。

 

開放的な側面:
1. 都市は外部との貿易や交流を通じて経済的繁栄を図りました。
2. 外国からの商品や文化が導入され、市民の生活や経済に影響を与えました。
3. 地域内での経済活動が独立的に行われていた一方で、都市は外部とのつながりを保ち、経済的な成長を促進しました。

 

本問は、以上の内容がすでに資料として与えられているので、これに基づいて、アルプス以北の中世都市の実例をいくつか挙げながら、解答できればよかったのです。

 

具体的な解説や添削は、一橋志望者のコース入試世界史演説ゼミナールでやりたいと思います。来春、一橋大学の門をくぐりたい方はぜひ本会のサービスをご検討ください!!

 

第2問

本会が直前期に実施した「トレンド徹底予想会」で予想していたテーマがそのまま出題されました! 数年前からどこかのタイミングで出るはずだと、一橋受験生には常に警戒するように伝えてきましたが、それが実際に出題される形になりました。これで一橋が出したので、今度は東大が出す可能性が高まりそうですね。一橋と傾向の似やすいとされる外大は既に2015年に奴隷問題を出題していますが、こちらも10年がたつので焼き直しが出る可能性はあるでしょう。

 

それでは、今回の問題について、簡潔にoverviewしていきます。

 

<主題>

1.19世紀の奴隷貿易奴隷制廃止の一連のプロセスを概説する。

2.奴隷解放の問題点を中心に。

 

<主題2、3についての副題>

・当時の国際関係や政治経済情勢に着目しながら。

奴隷貿易奴隷制の廃止に必ずしも「偉業」とは評価できない側面があり、それが現在の黒人たちの不遇な境遇と結びついているとすれば、それはどのような点だろうか。

・奴隷を解放した側からではなく、解放された側、すなわち、元奴隷や黒人社会、アフリカ各国の側からみた場合、奴隷解放とその後の解放された黒人に対する政策は、どのように評価することができるか。

・指定語句:13植民地の喪失、西半球の最貧国、シェアクロッパー制、アフリカ分割

 

主題1は副題もなく、リード文の文脈からも主題1は軽く済ませることが求められている。よって自分の中で字数を決めるなら、目安は主題1に150字以内、主題2に250字以内となるだろう。

 

解答作成要求文(この言葉を知らない人は本会出版の論述参考書を活用してください)がこれだけ長いと、なんとなくダラダラと文章を書く人が続出します。それでは大学の思うツボです。主題を分析して、メリハリのある文章を書くようにしてください。

 

また、巷に出ている解答例はどれも主題1に対する答えが長すぎて、逆にどの点が主題2への解答なのか不明瞭です。主題2は250字も書けるので、問題点を指摘した上で、その根拠となる具体的な事例を「元奴隷」「黒人社会」「アフリカ各国」の中から引っ張ってきます。すると指定語句のうまい使い方も見えてくるはずです。

 

以上のことを踏まえて、添削を希望する受験生は本会にご連絡ください。

 

nyushisekaishi.hatenablog.com

 

 

第3問

これは肩すかしだったかもしれません。本会も一橋の第3問が唐の滅亡をテーマに持ってくることは想定していませんでした。素直に反省したいと思います。

資料やリード文のない、主題と副題のみで構成された問題文も、筑波大学のようで驚きました。これも一橋では近年見られていなかった手法なので、来年以降続くかは蓋を開けてみないと分からないところです。

 

<主題>

10世紀から12世紀頃の東アジア世界の政治的・社会的変動を述べる。

<副題>

唐王朝の滅亡に伴って発生した」変動

 

さて「政治的・社会的」と聞かれたら、どのような順序で、どのような内容を答えるべきだったか覚えていますか?

 

覚えていない人は、すぐに「分かる!できる! 世界史の論述が書けるようになる本 ~講義編~」を、AmazonまたはMOSHの「テキスト販売」から購入して覚えてほしいです。世界史の論述は、方法論からしっかり学んだ方が習得がスムーズなのです。

 

参考書と講座のご紹介

この解説の中でも時折説明したように、論述を書き上げるには知識だけでなく、技術や経験が必要となります。それを身に付けられる参考書や講座は、世の中にそれほど多くありません。

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「2024年度 一橋大学対策講座 (添削付)」

本講座では、一橋大学を第一志望とされている方が世界史を得点源にできるように、志望校やご本人の現在のレベルなどに応じて個別のカリキュラムを作成し、本番までサポートいたします。一橋大学は、他の大学と比較しても特に難しい問題が多く、2023年は現代アフリカ史、2024年は唐代の中国が出題されるなど、傾向もばらつきつつあります。そのため特別な対策が必要となります。志望者は受講必須です!

 

「入試世界史演説ゼミナール」

パッと簡潔にoverview!【東大世界史 2024】

皆さん、こんにちは!

 

今回は2024年の東大世界史の講評をやっていきましょう。著作権の関係から問題文全体の掲載はやめておきます。

 

<目次>

 

第1問

なんと長年続いた大論述が分割され、360文字+150文字になりました。1989年以来、35年ぶりの出題形式の変更ということになります。

 

ただし重要なのは問題が何を問うているかであって、資料として与えられた文章の内容をしっかりと理解した上で、問題の主題と副題に対して素直になって解くべきです。実際に問題を解く際には、まず主題と副題の整理をしてから、それに基づいて資料の分解をしてみましょう。

 

資料の演説の冒頭では、「世界では二つの変化が並行して進みつつあり、戦争いらい、重要性を増してきました。一つはおもに政治的な、もう一つはおもに経済的な変化です。」とあります。問1で「政治的な」、問2で「経済的な」変化について問うていると考えてよいでしょう。

 

またこのシリーズで毎年のように書いていますが、東大世界史は一橋世界史と交差しています。このアフリカ独立の年前後の問題は、昨年の一橋大学で出題されたテーマと関連しています。近年の東大や一橋の出題を見ている限り、「脱-欧米中心主義」や「世界史の中の日本史」などが頻出テーマになっています。

 

東大の過去問で言えば、2016年が「1970年代後半から1980年代にかけての東アジア、中東、中米・南米の政治状況の変化」、2012年が「アジア、アフリカにおける植民地独立の過程とその後」ですから、現代史を深く理解しておくことは東大受験生にとって必須です。

 

問(1)

まずは問題文の主題と副題を整理します。

<主題>

1960年代のアジアとアフリカにおける、このような戦乱対立(<副題>を参照)について記述せよ。

 

<副題>

・諸民族の政治的解放が進んだが、道のりが容易ではない場合も多かった。

-「独立を得る過程で戦乱が起こった」「独立した国どうしが対立を深めた」など

・指定語句:アルジェリア コンゴ パキスタン 南ベトナム解放民族戦線

⇒(内部での)戦乱:アルジェリアコンゴ

 (独立した近隣国との)対立:パキスタン(vs.インド)、南北ベトナムの対立

 

指定語句に関連しない事例については、今回に限っては書かない方がよいでしょう。

 

このように考えると360字はあっという間に埋まってしまいそうです。この解法は本会の通期の講座で常に伝えてきたことですね。それぞれの内容については自分で教科書や史料集を使って調べるようにしてください。あまり細かい知識をネットで調べて記述しても、本番で求められている能力とは異なる解答例ができてしまうことになります。あくまでもベースは教科書と史料集です。

 

問(2)

まずは主題と副題を確認します。

<主題>

1演説で述べられている経済的な問題の歴史的背景

2その解決のために1960年代に国際連合がおこなった取り組み

 

<副題>

なし

 

扱われているテーマは現在の「南北問題」であり、世界全体の分業体制がひかれたことによって、いわゆる「周辺」がモノカルチャー経済になっていることを書く問題です。

これは「近代」の象徴的な現象と言えますが、これでは途上国は苦しいまま。そこで国連は世界レベルで対策を打つことにします。それがUNCTADです。

 

この問題の思想的、学問的な背景にはウォーラーステインの「近代世界システム」論があります。「近代世界システム」という語句自体を論述の中に入れてみるのも必須ではありませんが、悪くはないセンスでしょう。

 

 

第2問

昨年と同様に、第1問に近現代史を出題しておいて、第2問では古代、中世、近世のキリスト教世界、イスラーム圏、東アジアを幅広く出題してきました。今後、東大の出題傾向としてある程度定着するかもしれません。

 

問(1)

新約聖書が、1世紀末から4世紀末にかけて次第に現在の形へと変化していったことを前提にした問題でした。特に(b)などは出題の仕方が東大らしく、何を説明すればよいのか不明瞭です。このような問題に直面した時には、「5W1H」や「政治・経済・宗教・社会・文化」に注目するのでした。とはいえ分かっていても、90字にまとめるのは技術と経験の両方が必要となります。

 

問(2)

昨年建国100周年を迎えたトルコの歴史です。少しだけ自慢(?)をすると、本会が冬に繰り返し実施し、参加者の皆さんからも高評価を頂いた『トレンド徹底予想会』では、トルコの建国100周年であることを受けて、押さえておくべきだと言っていました。

こうした予想は、当てずっぽうなわけではありません。こういう○○周年問題は頻出なんです。受験生が○○周年をいちいち調べなくてもいいように代わりに調べて、受験生の皆さんにお伝えしただけです。

今年度も秋以降、『トレンド徹底予想会』を開催します。他にも有益な情報を常にアップしているX(旧Twitter)のフォローはこちらから!よろしくお願いします!

 

問(3)

どの大学でも頻出分野である清がテーマでした。この問題は絶対に落とすことのできない問題です。

 

第3問

(10)が今回の第3問では最も印象的でした。第1問の解説の中で、「近年の東大や一橋の出題を見ている限り、『脱-欧米中心主義』や『世界史の中の日本史』などが頻出テーマになっています。」と書きましたが、この問題はそれをあまりに直接的に表現している問題だったからです。

その他、(6)のサティも知らない人は知らない問題だったかもしれませんが、それ以外の8問は絶対に正解しないといけないような問題ばかりでした。

 

 

参考書と講座のご紹介

この解説の中でも時折説明したように、論述を書き上げるには知識だけでなく、技術や経験が必要となります。それを身に付けられる参考書や講座は、世の中にそれほど多くありません。

本会は、特に地方に住んでいて、大手予備校の授業を受けることのできない受験生をサポートしたいと考えて、書籍やオンライン講座を用意しています。もちろん都会の受験生も、本会のサービスを活用したい方は大歓迎です。1人1人に向き合って丁寧にサポートします。その分受け入れ人数はかなり限られているので、ご希望の方はお早めに!

 

書籍

講座を受けるほどではないけれど、本会の論述ノウハウや、効率的な勉強法を知りたいという方には、参考書のご利用をおすすめします。こちらから各書籍の詳細をご覧ください。 

 

 

通期講座(詳細はリンクから別ページでご覧ください!)

1「個人特訓」

 

2「入試世界史演説ゼミナール」

【入試世界史演習ゼミナール】開講のお知らせ

こんにちは!入試世界史研究会です。

本会では来年度より、新しく「入試世界史演習ゼミナール」という授業を開講することになりました。

とにかく世界史を楽しく勉強し、強みにしていきたい人におすすめの授業です。一橋大学社会学部や東京外国語大学の受験生には特におすすめします。

それでは、以下で詳細をお伝えしていきます!!

 

【概要】

この授業では、高3生または浪人生を対象に、ゼミナール形式で世界史の学習を進めていきます。難関大学の入試問題を題材として、「入試世界史の研究」および「解法の研究」を実施します。
最低開講人数は5名、定員は10名(先着)とします。2024年4月20日までに予約人数が4名以下の場合、その時点で申し込み済みの方は「個人特訓コース」へと移行しますので、あらかじめご了承ください。

 

 

【ゼミナール参加条件】

・2025年春の大学入学を目指す方(現役高3、浪人ともに可)
・原則、毎回参加できる方
・現時点での第一志望大学が以下の大学である方
東京大学京都大学一橋大学大阪大学名古屋大学筑波大学東京外国語大学九州大学北海道大学

 

 

【到達目標】

以下の3つの目標を達成することを目指します。

(1)世界史の論述問題をロジカルな解法によって解答できる。
(2)世界各地のさまざまな歴史について、その特徴を知り、自分なりの考えを持つことができる。
(3)地理や日本史などの知識も身に付け、社会科学を横断的に学び、人に説明できる。

以上3つの目標に到達できれば、自ずと第一志望大学に合格するような実力が身に付きます。もちろん受講者全員に共通する目標は第一志望への合格なので、そこに向けて勉強することになります。しかし楽しく勉強することも大事なので、ゼミナールを通じて受講者全員が世界史を好きになることを祈ります。

 

 

【ゼミの進め方】

以下の原則に従います。ただし講師の都合によっては変更となる回もありますので、あらかじめご了承ください。

・1回のゼミは、原則として17:00~18:30の90分です。
・1か月に2~3回ZOOMを利用して集まります。開催する曜日は原則として水曜日です。

欠席者へのフォローアップもしますので、スケジュール面で不安を抱く必要は一切ありません。

 

 

【ゼミの内容】

授業では以下の内容に取り組みます。

・テーマ学習:講義とディスカッションを通じて、世界史への理解を深めます。
・入試問題演習:過去の難関大学の入試問題を題材に、解法の研究と演習を行います。
・グループワーク:皆さん同士が討論をしながら、課題に取り組みます。

想定しているカリキュラムは以下の通りですが、集まったメンバー次第で可変的です。

Ⅰターム 「論理的思考と論述の基礎」
第1回:ガイダンス、顔合わせ
第2回:通史の概観、主要な時代区分
第3回:世界史を論理的に分析する手法
第4回:論述の基礎、解法の研究1
第5回:解法の研究2、演習テスト①

Ⅱターム 「問題の演習」
第6回:入試問題演習1
第7回:入試問題演習2
第8回:入試問題演習3
第9回:出題者の意図を探る
第10回:演習テスト②

Ⅲターム 「テーマ学習とグループワーク」
第11回:テーマ学習とディスカッション1
第12回:テーマ学習とディスカッション2
第13回:テーマ学習とディスカッション3
第14回:採点者の心理を探る
第15回:演習テスト③

Ⅳターム 「合格への総仕上げ」
第16回:テーマ学習とディスカッション4
第17回:地域別の歴史に関する論述の実践
第18回:共通テストの振り返り、トレンド予想
第19回:汎用的なスキルの実践
第20回:演習テスト④

 

 

【受講生へのメッセージ】

このゼミに参加することで、難関大学合格に向けた知識とスキルを身に付けるだけでなく、世界について深く理解し、高いレベルで楽しく勉強できます。皆さんには、世界史の魅力を感じ、自ら学ぶ楽しさを知ってほしいと思います。目標は第一志望合格ですが、その先に広がる「世界史を道具とした、時空と空間を超える世界旅行」を楽しむつもりで、ゼミに参加してくれるとよいでしょう。

 

↓↓ご興味のある方は、以下の予約システムへ!!

mosh.jp

【世界史の新しい勉強法】入試世界史研究会と一緒に世界史を勉強してみませんか?

 こんにちは!入試世界史研究会です!共通テストも終わり、これからまさに大学受験シーズンは佳境に入っていきます。体調には気を付けて頑張っていきましょう!

 

 さて高校2年生の皆さん。まもなく皆さんが「受験生」になりますね。英語と数学が重要科目だと言われ、懸命に勉強してきたでしょう。その努力はおそらく本番でも活きてくるはずです、しかし英語と数学だけに時間を割いた結果、地歴で大失敗して不合格になるという人が毎年何人もいます。そこで本会は世界史のせいで不合格になってしまうことがないように、難関大学の二次試験に向けて志望校別の論述対策講座を開講します。

 

 「世界史は独学で大丈夫」となめてかかる受験生が毎年数多くいます。もちろん中にはうまくいく人もいますが、知識はあってもそれを論述に昇華することができず、不合格になってしまう人も少なくありません。受験生としての自覚がなかったことに気づいてからでは遅いこともあるのです。英数が苦手だからせめて世界史で得点を稼ぎたいという人も焦って暗記に走りがちです。しかし世界史を単なる暗記で終わらせてはいけません。

 

 さて、本講座では、以下の「対象大学」を第一志望とされている方が世界史を得点源にできるように、志望校やご本人の現在のレベルなどに応じて個別のカリキュラムを作成し、本番までサポートいたします。受講開始以降、月2回のレッスンによって本番までに知識・論述力ともに合格に値する実力の定着を目指します。(1人当たりの指導を丁寧に行うため、定員はわずか10名です。2025年入試用講座の予約受付は、いったん2024年6月までとします。)

☆対象大学: 東京大学京都大学大阪大学筑波大学東京外国語大学九州大学名古屋大学北海道大学

※例年通り、一橋大学は別講座を用意しています。

 

 先ほども書いたように、世界史をただの暗記科目と思って勉強してはいけません。暗記に頼る学習では、共通テストは突破できても国公立大学二次の論述問題は突破できないのです。本講座では、正確に問題文を読み取る力(読解力)、論理的に歴史を考察する力(思考力)、限られた時間と文字数で表現する力(表現力)を総合的に身につける訓練をしてもらいます。とはいえ世界史に多くの時間を割くわけにもいかないでしょうから、3つの力をできるだけ効率的に習得してもらいます。

 

☆レッスン内容

-志望校に応じた過去問演習

第一志望の過去問を中心に、他大の過去問なども用いながら、第一志望に合格するための実践力を身につけます。ただ演習して添削を受けるだけではなく、様々な問題に太刀打ちできる知識と論述力を養いましょう。過去問から学べることは思ったよりたくさんあるのです。

 

-論述に対応したオリジナルテキスト

本会の参考書をベースとしたテキストを中心に、過去問演習と同時進行で知識の強化と論述力の向上を目指します。

 

-個人に特化した専用のレッスン

ZOOM面談などを通じて個別にカリキュラムを作り、個別指導によって世界史を戦略的に完成させていきます。かなりきめ細かな指導をしていきますので、レッスンの内容は生徒様によって十人十色です。

☆さらに、一般向けに発売される模試も無料で受験可能!(模試の添削には追加料金が発生します。)

 

 ↓人数に限りがあります。こちらのリンクから今すぐご予約ください。

mosh.jp

※その他、講座についてご質問・ご相談がございましたら、メールやSNSなどからお気軽にご連絡ください。

共通テスト 世界史を論述問題に発展させてみた! 【2024年版】

 みなさん、こんにちは!入試世界史研究会です。

 

 今回は、、、先日行われました2024年度共通テストの世界史Bの問題文・資料・史料をもとに、発展問題(論述問題)を作問していきます。

 

 

はじめに

 東京大学京都大学一橋大学名古屋大学大阪大学九州大学筑波大学東京外国語大学早稲田大学慶応義塾大学、上智大学など長い論述問題が出題される大学は数多くあります。

 共通テストの各大問から、良質なオリジナル論述問題をご用意しましたので、自分の志望大学で出題されそうな形式のものを中心に演習の材料としてください。

 共通テストのために必死に追い込みをかけてきたかとは思いますが、第一志望合格に向けて勝負はここからです。論述問題に慣れていない人は今すぐやり始める必要があります。慣れている人でも共通テスト明けのリハビリは大切です。

 今回の論述問題を糧として、技術の向上と知識の拡充を始めるようにしましょう!

 

第1問より

(1)傍線部Aについて、一族に対する分権という「諸刃の剣」は今回登場した王朝以外についても見てとれる。中国史において分権という伝統が持つ意味について、具体的な事例を挙げつつ、400字以内で説明しなさい。

 

(2)問題Bについて。

(ⅰ)1066年、ノルマン人はイングランド征服に成功した。しかし中世ヨーロッパにおいてノルマン人が征服したのはイングランドに限られない。例えば「ノルマン人の南イタリア征服」は、中世ヨーロッパ史における重要な意味を持つ。その間の歴史的な事情を400字以内で述べなさい。

 

(ⅱ)イングランド(あるいはイギリス)とヨーロッパの距離感や関係は、現代でもたびたび注目される。とりわけ19世紀の覇権国家としての存在から、1980年代に至るヨーロッパにおけるイギリスの位置づけは大きく変化したと言えよう。その変容の様相について、400字以内で記述しなさい。

 

(3)問題Cの冒頭には「19世紀後半に入りイギリスでは,公的な年金制度の導入が本格的に議論されるようになった」とあるが、その背景にある事情を100字程度で簡潔に示しなさい。

 

(4)ビスマルクに関して、2013年の京都大学の第3問を解きなさい。

 

第2問より

(1)問題Aで扱われたアレクサンドロス大王への評価については、その他にもさまざまな資料がある。例えば大王の家庭教師としても有名なアリストテレスの大王への評価も常に賛同的なものではなかった。以下の資料を読み、後の問いに答えよ。

・・・ここでアリストテレスは、ギリシア人達には友人や同族の人々として配慮し、彼らの指導者として振る舞うこと、異民族に対しては彼らの専制君主として臨み、動物や植物のように取り扱うことを勧めている。異民族を動植物同然と見なすアリストテレスの言葉は、a当時のギリシア人が外国人= バルバロイに抱いていた感情を集約したものだ。彼の学問が一見広大なようでいて、所詮ギリシア 世界の狭い枠組みを超えられなかったことを証明している。これに対してbアレクサンドロスは遠征先の各地に都市を建設し、マケドニア人やギリシア人ばかりか地元の住民をも住まわせ、またペルシア人貴族を高官や側近に採用した。

 (森谷公俊『興亡の世界史 アレクサンドロスの征服と神話』講談社、2012=2016)

問1 下線部aについて、ギリシア人と「バルバロイ」の関係を200字で簡潔に説明しなさい。

 

問2 下線部bの都市はアレクサンドリアと呼ばれている。それはアジア、アフリカ地域に70か所以上建設されたが、アレクサンドリアが建設された国を1つだけ例にとり、その国においてアレクサンドリアが果たした役割を200字で説明しなさい。

 

(2)問題Bで扱われたアメリカ合衆国の発展の歴史の前提には、アメリカの植民地が本国から独立するというドラマがあった。以下の文章を読み、後の問に答えよ。

「かつて革命と呼ばれていたものは、せいぜいのところ、人物の交替、ないしは地方的環境の改変にすぎなかった。そうした革命は、日常茶飯事のように、起こっては消え、革命が起こった地域の外まで影響を及ぼすことのできるものは、その存続しているあいだにも、その運命の中にも、何一つとしてなかった。ところが、今日、アメリカおよびフランスでの革命以来、全世界に見られるものは、事物の自然の秩序の革新であり、真理や人間の存在と同様に普遍的で、政治的幸福および国民的繁栄と道徳的幸福および繁栄とを結び合わせる一つの原理体型なのである。」

(トマス・ペイン(西川正身・訳)『人間の権利』岩波文庫、1971)

問い 下線部について、同時代にアメリカ独立革命の影響を受けて起きた出来事には、どのようなものがあるか。世界史全体に目を向けつつ、400字で説明しなさい。

 

第3問より

(1)問題Aについて、一橋大学2001年第3問の問Aを解きなさい。

 

(2)問題Bの資料には「連邦政府が各州政府を援助できるようにする法律」とある。これは裏を返せば、連邦政府と各州政府が相互に独立的な関係を構築する地方分権体制が構築されていたことを表す。実際にアメリカは連邦国家として今も地方州に大きな権限が与えられている。そのような国家体制になるにいたったアメリカ合衆国の創成期について、300字以内で説明しなさい。

 

(3)第3問を通じたテーマである「交通の発達」は、古今東西で社会や経済を支えてきただけでなく、時に政治面でも重要な意味を持ってきた。また交通だけでなく通信技術の発達も近代以降の世界史に大きな影響をもたらしたと言える。そこで、交通と通信の発達が近代から現代にかけて欧米列強とアジア・アフリカ地域との関係をどのように規定してきたのかについて600字以内で説明しなさい。ただし以下の6つの言葉を必ず用いること。。

  バグダード鉄道  モールス信号  マルコ一ニ義和団

  孫文  日露戦争  イラン立憲革命

 

第4問より

(1)問題Bではヨーロッパに「国語」が登場した頃の文章がリード文になっている。それは以下の国について、現在の公用語はどのような過程で登場したのか。それぞれ100字以内で述べなさい。

 ドイツ  イギリス  メキシコ

 

(2)問題Cの会話の中で、最後に先生が、自身の発言に対して以下のように付け加えたとする。あなたが福村(生徒の名)であれば、どのようなレポートを提出するか。実際に書きなさい。

先 生:そういえば福村さん、あなたは世界史に興味があるようなので特別に宿題を出してあげましょう。中国の皇帝がわざわざ文化事業をすることにはどのようなメリットがあったと思いますか?いろいろと調べて400字程度で書いてみてください。

 

添削、および本番までの個別指導について

 難関国公立を受験する方は、特に論述の出来栄えが重要になります。以上の問題に加えて、論述演習テキストを解いてみてください。添削サービスも提供していますので合わせてご利用ください。世界史を一気に合格点に持っていきましょう。

 

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