入試世界史研究会

世界史を得点源にしましょう!!

パッと簡潔にoverview! 【東大世界史 2022】

2022年の東大世界史の講評を行いましょう。著作権の関係から問題文全体の掲載はやめておきます。

 

第1問

リード文の「トルキスタンの支配をめぐり、その周辺の地域に興った勢力がたびたび進出してきたが、その一方でトルキスタンに勃興した勢力が、周辺の地域に影響を及ぼすこともあった。」という部分を踏まえた答案を書けるかが重要です。わけもわからずトルキスタンの歴史を年表を箇条書きするかのように書いてしまっては点数はもらえないでしょう。今回の地域とその周辺は、直前予想問題の第2問の問(1)(a)、第3問の問(5)(以下に引用)で出題していた地域でした。この予想問題を解いて、この地域の勉強が不十分でないと感じ、その復習をばっちりやっていたら知識的には問題なかったかもしれません。直前予想問題をしっかりやっておくといいことがあるかもしれないのです。

(a) 陸上移動の中でも、古来人間が移動の手段として用いてきたのが騎馬である。騎馬民はユーラシア大陸の東西を結ぶ交易路で活動し、時にはオアシスの農民や商業民を支配下に置き、強大な国家を作ることもあった。その中でウイグルに滅ぼされた騎馬民の帝国は何か答え、その帝国の盛衰の過程を4行以内で簡潔に記しなさい。

 

問(5) 酷暑や乾燥に耐え、砂漠の船ともよばれる「ラクダ」は古くから内陸アジアの陸上交易で重要な役割を果たしてきた。その内陸アジアで、9世紀半ばにウイグルタリム盆地に定住して以降、トルコ系住民やイスラムを受容して発展した王朝を2つ答えなさい。

 

第2問

 全体として解答に困るような問題はなく、近年のオーソドックス化に拍車がかかった感じがしました。さらに問(2)・問(3)は近年の”一橋化”の傾向を継承していましたね。近年の東大世界史は、一橋の過去問で問われそうな(あるいは既に問われたことがある)テーマが出題される傾向が強いです。近年の一橋化は東大第1問に見られていましたが、今年はそれが第2問に変化した形です。

 

第3問

戦争をテーマにしたのはわざなのでしょうか。さすがにロシアとウクライナの問題が大きくなる前に作問は完了しているはずなのですが、偶然にしては出来すぎな気もします。出題としては例年通り、8~10問は得点しておきたいレベルでした。