2023年の一橋世界史の講評を行いましょう。著作権の関係から問題文全体の掲載はやめておきます。
第1問
百年戦争を出題してきました。一橋世界史を隈なく勉強してきた受験生としては、第2問のことも考えると絶対に落とせない大問になりました。ただしイギリスとフランスの戦争とは言い切れないと問題文が言っていますので、そのような趣旨で作文しなければなりません。しかしそれもたいして難しいことではありません。つまりこれはフランスの内戦という側面があるのです。それは教科書に直接書いてあるわけではありませんが、史料集で戦争の流れを読めば簡単に分かることです。
本会は1月にイギリスに関係のある出題の可能性を指摘してました。
後半の「フランスへの影響」については、本会の参考書で幾度となく取り上げた「14世紀の危機」の一環として百年戦争を取り扱っています。つまりは危機を乗り越えた先に新時代が待っているという意味で、近世フランスの絶対王政を準備したのがこの百年戦争でした。コロナ禍とウクライナ戦争、これはペストと百年戦争に直面した当時と似た時代背景であるようにも感じられます。そのような意図で出題された可能性も大いにあると考えられるでしょう。
14世紀の危機をはじめ、本会の論述参考書は今年も多くの問題のヒントとなる情報をたくさん紹介していました。ぜひお買い求めください。
さらに、実はこれの類題を今年の共通テストの発展問題として、当ブログ上で公開していました。本会の受験世界史指導は、様々な知識や情報に裏打ちされたものです。
第2問
1963年、今からちょうど60年前、OAUは誕生しました。その記念の問題です。今年は出題されてすぐに、この問題がSNSで話題になっていました。確かに近現代欧米史を勉強してきたはずの受験生たちにとっては、唐突に出題範囲が変わり、驚きだったかもしれません。しかしかつてはASEANも出題していますし、戦後のアジア・アフリカも決して無視してよい範囲でありませんでした。「○○の記念問題」は、東大や一橋の大好きな出題ですから、2023年は何の記念の年なのかを準備していても良かったかなと思います。ですから、決して悪問でも驚くべき問題でもありませんでした。
第3問
これも100周年記念問題でした。孫文=ヨッフェ共同宣言です。
孫文の問題も、今年のセットでは落とせない問題でした。第1問、第3問を落とすとかなり厳しかったのではないでしょうか。
近年の一橋は傾向が揺らぎつつも、やはり「一橋世界史」です。大きな傾向や癖は変わりません。専用の対策を必要とする一方で、しっかりと対策すればノープランの人に圧勝できるチャンスでもあります。
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来年、一橋大学を受験する新高3生、および浪人予定のみなさんへ。
世界史は過去問や演習問題を解いて添削を受けることで、大きく力を伸ばすことができます。直前期のみの対策では十分な力をつけることができません。1年前から着々と準備しておく必要があるのです。
本会は、非常に癖の強い「一橋世界史」に精通した講師による、一橋世界史のためだけの個別指導を行っています。添削指導をメインとするので、通塾の時間的制約もありません。ぜひお試しください。特に地方にお住いの方は必見です!
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