土曜日に行われた共通テストの世界史Bについて、簡単な講評を行います。
各大問の太文字は、その大問の復習ポイントです。第一志望の受験日までによく復習しておいてください。良いことがあるはずです。
第1問
アジアの歴史を中心に出題されました。地図上での場所の確認や、文化史である程度細かい知識が問われました。また史料から得られる情報と知識を組み合わせて解く問題も出題されていました。一方で、かつてのセンター試験とほとんど変わっていないような問題も見られました。中国周辺史に関しては、冬季オリンピックがまもなく北京で開催されること、中国政府が少数民族に対する圧力を強めていることなどを踏まえても、この後私大や国公立大学の二次で狙われる可能性が十分にありますから、苦手意識のある人は押さえておくと良いかもしれません。
第2問
第2問でも地図の問題が出題されました。またイギリスがジブラルタルをスペインから奪ったこと、部分的核実験停止条約がアメリカ、イギリス、ソ連の3か国の主導により発効されたことなど、受験生にとっては盲点になりがちなポイントが突かれました。また、戦後史に苦手意識を持っていた人は問3で焦ったかもしれません。戦後史はどの大学でも出題されることが多いですから、苦手意識のある人は本番までによく復習しておくとよいでしょう。
第3問
授業をリード文に用いる形式で出題されました。先生と生徒の会話がそれぞれ意味を持ち、資料読解の要素が強かった問題です。一方で焦らずに丁寧に資料を読み取ることができれば、問われている知識は第1問や第2問よりも易しかったように思われます。国公立志望の方は、問題で出題された基礎事項はもちろんのこと、会話内容にも着目してください。特に、明治政府は世界史の文脈でみるとどのように考えられるのか、経済と人口の関係について近世ヨーロッパと東南アジアの場合を考察してみるとどうなるかなど、今一度考えてみてください。難関大学で出題歴があります。
第4問
20世紀の歴史は、入試世界史で大人気の分野です。学説に直接関係するような話題を出題したり、推察する場合の話を出題したりと面白い問題がいくつかありました。ただ、そうは言っても、出題は基礎知識に基づいていました。
第5問
Aに関してはやや出題に複雑さがありました。あと一方で悪問と呼ばれてもおかしくないと思います。選択肢が選びやすいので、出題趣旨が分からなくても正答を選ぶこと自体は易しかったですが。Bでは三度地図が登場しました。中国人の移民、いわゆる華僑に関しては、過去に東京大学も一橋大学も出題したことがありますし、移民というテーマ自体が近現代史を語る上では欠かすことのできない論点なので、よく復習しておくとよいでしょう。
全体評価
日本史に少し関係がある問題が今回の共通テストではいくつか見られました。恐らく、新科目として準備されている「歴史総合」を想定した作問です。世界史の中の日本史という視点は来月の二次試験本番でも狙われる可能性が大いにあります。